事例紹介 詳細

【事例2】 水中毒 Bさんの事例

30歳女性 統合失調症 うつ病

 

訪問看護開始までの経過

元々は両親と兄の四人暮らしでしたが、Bさんが一番頼りにしていた母親が他界、兄は結婚して家を出たため、父親と二人暮らしをされていました。父親は定年退職し、悠々自適の生活を送り、やや口やかましくせっかちな性格でした。Bさんは動作がゆっくりで気が利かず、父親とは正反対の性格で二人はほとんど口をきかない関係でした。

Bさんは対人関係がうまくいかず仕事も長続きしませんでした。仲間つくりの為に作業所にも通っていましたが、友達ができず、作業所でも孤独感が強まり通う事が出来なくなりました。自宅で大量飲水することに父親が心配し訪問看護が開始されました。

飲水の実態を把握する

自宅では一日10リッター以上の大量飲水をされていました。静止は一切きかない状態で、このままでは電解質バランスの異常を招き、生命の危険も考えられました。

水を飲むという行動には、孤独感やストレスが関与しているといわれています。

Bさんのストレスの原因は、父親との関係にあるようでした。また作業所で友達を作れない自分への苛立ちもあったようです。

水中毒改善への関わり

訪問時に一日の飲水量と体重を確認し、記録していきました。そして、父親にBさんのことを気にかけてもらうようにお願いしました。父親もBさんにどう接していいか分からなかった様子でしたので、訪問時には父親との個別の面談の時間も設け、病気についての理解を求めました。

なかなか、Bさんに優しく接する事が出来なかった父親も、病気の理解が進むにつれ、Bさんに声をかけたり、褒めたりすることができるようになってきました。Bさんは以前より明るくなり、話もよくしてくれるように変わってきました。依然、大量飲水は続いておりましたが、元気を取り戻すことにより、作業所を再開する事が出来ました。作業所に通うことで、暇な時間が無くなり大量飲水もなくなっていきました。