事例紹介 詳細

【事例1】 拒薬 Aさんの事例

60歳代女性 統合失調症

 

訪問看護開始までの経過

Aさんは40歳のころ、薬局で購入した薬を服用したところ、浮腫が出たと訴え、頻回に保健所を訪れるようになりました。そして毎回同じ内容(訴訟の話、浮腫で苦しんでいる話)を長時間にわたって訴え、対応した係員にいきなり大声を上げて激怒したりされていました。その後、レストランで店員を殴った事件をきっかけに、精神鑑定を受けて統合失調症と診断され措置入院となりました。

入院後、服薬を開始し状態が落ち着いたため退院となりましたが、退院後、怠薬し症状が再燃してしまい、再入院となりました。

その後、約半年後に退院となり、退院と同時に訪問看護が開始となりました。

拒薬への対応

Aさんは、薬の副作用を強く訴えており、拒薬されていました。しかし「病気だから」という理由の服薬は受け入れられなくても、「眠れないから」といった自分の苦しさを緩和する理由であれば服薬を受け入れる事が出来ました。

訪問看護師は無理強いすることなく、Aさんの納得のいく服薬する方法を一緒に考えました。そのなかで、Aさんは自分の服薬の現状について語ったり、身体症状について相談するなど、徐々に訪問看護師を頼りにするように変化してきました。

現在、Aさんは「薬は自分の生活にとって必要なもの」「副作用もあるが看護師さんが症状に気付いてくれる」と話され、以前ほど薬を拒否することはなくなりました。