事例紹介 詳細

【事例1】福祉用具をひと工夫することでお風呂に入れるようになったDさん

Dさんは半年前に脳梗塞を発症されました。

病院のリハビリでは麻痺を改善する機能訓練だけではなく、自宅での生活を想定した入浴動作練習なども行っていました。

 

退院時には病院からの情報をもとに、ケアマネジャーさんは浴槽ボードを導入されました。

Dさんは、入院中に練習した通りにできると思い退院されました。

しかし、入院中に練習した通りにはいかなかったのです。

そのため、入浴はヘルパーサービスを利用することになりました。

 

退院して間もなく作業療法士の訪問が開始されました。

ケアプランのリハビリテーション目的は、本人の強い希望もあり

「病院でのリハビリテーション内容を継続し、機能向上を図る」というものでした。

訪問を開始した当初、Dさんは「お風呂は病院で練習したから大丈夫」と話されました。

 

訪問の訓練にも慣れてきた頃、Dさんから「入浴をヘルパーに手伝ってもらっているんや。病院では一人でできていたのに」と悔しそうに話をされました。

一度入浴場面を見せてもらうことになり、Dさんがなぜ出来ないのかを検証することになりました。

 

Dさん宅の浴槽は昔ながらのタイル調で、淵が湾曲しているタイプでした。

そのため、購入した浴槽ボードが設置できずにヘルパーさんが介助で移乗させている状態でした。

 

そこで、作業療法士はDさん宅の浴槽でも使用できる浴槽ボードを作成することにしました。浴槽の大きさや縁の太さなどを計測し、木工や組立材料を駆使してDさん宅専用の浴槽ボードを作成しました。同時に、浴槽への移動練習も開始しました。

Dさんは「これなら病院でやってたみたいにできるわ」と自信を取り戻した様子でした。

ヘルパーさんにも浴槽ボードの使用方法を説明し、何度かヘルパーさん見守りの下、実際に使用してもらいました。

安全に入浴できることを確認し、ヘルパーサービスを終了しました。

現在は専用の浴槽ボードを使って一人で入浴されておられます。

Point

・福祉用具は本人の身体機能はもちろん、自宅環境との適合も大事

・身の回りの活動が自立することの喜び